負の感情に強くなる《神経症的傾向》の性格改善術

2021-06-14

「行きたくない。」「不安。」「恐怖。」

こういった負の感情は、人生にはつきもの。乗り越えた先に、胸を張れる自分がある。

しかし、この感情に打ち勝つにはとんでもないパワーがいる。皆さんも、経験があるだろう。不安な気持ち。明日が来てほしくないという気持ち。もちろん僕もある。しょっちゅうあった。

「気合で乗り越えろ」「がんばれ」なんて言葉、糞の役にも立たない。

そこで今回は、そんな負の感情に打ち勝つための根治治療。性格改善を提案していく。もちろん地道な努力が必要とされる。しかし確実に性格は変わる。メンタルは強くなる。

赤堀先生のメンタル改善の過去

僕は、学校に行きたくないとずっと思ってきた。実際、高校を中退している。人と会うのが怖かったし、うまく喋れない。表面的な付き合いしかできなかった。自分をさらけ出すなんてもってのほかだった。

それがどうだろう。今やネットで自分の事を喋れる。顔出しして堂々と情報発信ができる。僕を否定する批判コメントにも動じない。仕事に行くのが楽しみだと思っている。保護者とも楽しく喋れる。自分で仕事を生み出し、営業や交渉だってやり切れる。他人を叱ることだってできる。そして他人を愛することも出来る。

過去は、目に見えない漠然とした不安や恐怖と抗い続けてきた。しかし今ではそんな感情が湧くことも減ったし、負ける事はまずない。

人は驚くほど強くなれる。時間はかかるかもしれないが想像もしていなかったような場所にたどり着くことができるものだ。きちんとした知識さえ手にすればね

もちろんこの記事では、実践心理学を活用したメソッドを紹介する。研究データ(エビデンス)から効果ありと裏打ちされた信ぴょう性のある性格改善方法だ。

是非、出来そうなものを取り入れてほしい。少しでも「生きやすく」なれば、それほど誇りに思える事は無い。

神経症的傾向とは、性格の1つ

人の性格を表す要素は、5つの単語で表すことができます。*1

この5種類の要素を「ビック・ファイブ」と呼びます。ビック・ファイブには「外向性」、「協調性(調和性)」、「誠実性(良心性)」、「神経症的傾向(情緒安定性)」、「開放性(知性)」があります。(研究者により言葉のチョイスはちょっと違う)

このなかで「外向性」と「神経症的傾向」は幸福感に大きく影響を与えます。ざっくりまとめると外向性が高いと「人生満足感」、「幸福感」、「ポジティブ感情」が増え「ネガティブ感情」が減る。神経症的傾向が高いとその真逆になります。*2,3

つまり、「外向性」を高め「神経症的傾向」を低下させると幸福になりやすくなる。だが基本的にこのビッグ・ファイブは安定性(変わりにくさ)が高くかなりの割合が遺伝で決まります。でも決して完全なものではなく、成人期になったり年老いても、「調和性」や「勤勉性」は高まるし「神経症傾向」は低くなるという結果が示されるようになっている。その為、パーソナリティは変化するのだと主張されるようになっている。*4

しかし、「外向性」は変化しないか、あるいは落ちていくという結果が出ています *5 。そこで本当は「外向性」も育んであげたいところなんですが、「神経症的傾向」を減らすことにのみ注目します。

まずは自分のビッグファイブを把握しよう。約60問の質問に答えると自分の性格を驚くほど正確に知ることができます。無料で診断できるのでまずはお試しください。

※こちらのサイトでは「神経症的傾向」の部分が「情緒安定性」と表記されています。

どうでしたか?診断結果にBigFiveの簡単な説明もあったと思いますが一応こちらでも説明しておきます。とりあえず簡単な表を作成しました。

BigFive傾向特徴
開放性新たな知的、美的、文化的な経験に開放的な傾向好奇心、創造性、審美眼
誠実性責任感があり計画性があり勤勉で真面目な傾向熟慮粘り強さ、自己コントロール
外交性自分の興味関心が外界に向けられる傾向社交性、陽気さ、積極的
協調性利己的、利他的でもなく、バランスを取り協調的な行動が出来る向優しさ、思いやり
神経症的傾向(情緒安定性)感情的・情緒的で不安定な傾向精神の安定性、不安

この中でも今回は「神経症的傾向(情緒安定性)」がメインなのですこし掘り下げていきます。

神経症傾向は、心理的ストレスを受けやすい傾向を表している。*6 怒り、不安、抑うつ、脆弱性などの不快な感情を容易に経験する傾向でもある。また、神経症傾向は情動の安定性と衝動の制御の程度を意味し、ときにはその低い極である「情緒安定性」と呼ばれることもある。

安定性が高いということは、安定した穏やかな性格であることを示しているが、無感動で無関心であると見ることもできる。低い安定性は、動的な個人にしばしば見られる反応性で興奮性の人格として現れるが、不安定もしくは自信不足と認識されることがある。*7

神経症傾向の高い人は、感情的に反応しやすく、ストレスに弱いうえ、感情表現の面でも軽薄な傾向がある。彼らは普通の状況を脅迫的なものと解釈し、些細な欲求不満を絶望的に困難なものであると解釈する傾向が強い。彼らの否定的な感情的反応は、異常に長期間持続する傾向があるため、しばしばその人達が不機嫌であることを意味する。

例えば、神経症傾向は、仕事に対する悲観的なアプローチ、仕事が人間関係を妨げるという自信、仕事に伴う明らかな不安などと関連している。このような情動調節の問題は、神経症傾向のスコアが高い人が、明確に考え、決断を下し、ストレスに効果的に対処する能力を低下させる。さらに、神経症傾向の高い人は、より否定的な人生の出来事を経験する傾向があるが、神経症傾向も肯定的および否定的な人生の経験に応じて変化する。

反対に、神経症傾向のスコアが低い人は、動揺しにくく、感情的に反応しにくい。そういった人は穏やかで情緒的に安定しており、持続的な否定的感情を持たない傾向がある。

《神経症的傾向》の性格改善術。

神経症的傾向とは、神経症になりやすい体質と言える。神経症の原因は様々な理論によって解説されている。だがどれも完璧ではなく人によって合う合わないがある。なぜなら人はだれ一人として同じ存在ではないから。心の理論は数が必要だ。

いくつか信ぴょう性のある理論を紹介するので試していってほしい。どれかはあなたを救うものとなっている事を願う。

1. 精神力動論的アプロー

精神力動論的アプローチとは、フロイト(S.Freud)がまとめた精神分析学を活用した性格改善法だ。

人生の節目節目で迎える危機を上手に乗り越えた経験・術を持つ。未解決の問題を持たない。自分はこうありたい。こういう人間だと前を向いて歩ける。自分が成長することに集中できる。そんな状態を目指す。つまり過去に抱えた問題を解消するアプローチだ。

深く学んでいくと果ての見えない長い旅路になるので、簡潔に実用的な範囲でまとめてみる。

このアプローチのカギとなるのは《無意識の意識化》だ。

人には、満たさねばならない欲求がある。それを自覚し解消することで神経症的傾向は解消される。つまり、満たされていない欲求を自覚し、対処する事が精神力動論的アプローチの性格改善法だ。

人の満たす必要がある欲求のことを、心理性的発達段階としてフロイトはまとめた。下記の図をみてほしい。

段階年齢満たすべき欲求性格特性
口唇期1歳ころまで親からの愛情を得られたかどうかの時期。愛情の象徴が《母乳を吸う》といった行為の為、口唇期と呼ばれる。依存的、常に人に頼り自主性がなく社交的、寂しがり屋で孤独を怖れる。このタイプは往々にして本来の口唇的欲求も強く、食いしん坊、甘いもの好き、食道楽、嗜癖に陥りやすいなどの傾向がある。
肛門期2,3歳自律出来るかどうかの時期。自律の象徴を《排泄のしつけ》としたため肛門期と呼ぶ。几帳面、ケチ、頑固、自分の世界を他人に乱されるのを極端に嫌う。反面、ルーズでだらしない。
男根期5,6歳まで自分を認められるかどうかの時期。関心が《男根に集中する》ため男根期と呼ぶ。女性もペニスのない体を受け入れるか否かと男性目線で分類されている。攻撃的、積極的、自己主張が強く人前に出ることを怖れない。リーダーシップを取りたがる。あるいは人を傷つけることを怖れない。
潜在期学童期幼児性欲は一時影をひそめ、子供の関心は知的方面に移行し、比較的感情が安定する時期。
性器期思春期以降様々な欲求をうまく昇華できるかという時期。《性欲の満足》が一番の課題になる為、性器期と呼ばれる。具体的な言及はないが、成熟した感情を持ち、人を愛し受容できる、いわば理想的人格。

例えば、子供の頃、愛情を貰えず育ったとしよう。すると大人になっても愛情が満たされておらずいまだ口唇期のままにとどまり欲求に振り回される。うまく欲求を処理できず神経症へと至ってしまう。

こういった状態の人の欲求を明らかにして自覚させる。そして適切な方法で欲求を解消させる。おっして一段ずつ階段を上り、性器期的性格を目指す。これが精神力動論的アプローチだ。

自分の満たされていない欲求を見つける手法をとしては、自由連想法がある。

やり方としては、頭に浮かんだ事をありのまま言葉や文字にしていく。すると、言いたくない・避けたい・歪めたい・誇張したいといった感情が出てくる。これを抵抗という。その抵抗はなぜ起こるのか?という解釈を行いまだ気づいていない自身の満たされていない欲求、つまり問題に自覚していく。

そして自分が抱えている問題を、意識化することが出来たら後はそれを解消するだけだ。ただし、自分にも周りにもいい影響を与えるやり方でだ。

人の欲求不満の解消方法は10個に分けられる。これを防御機制という。この中で、一番理想的なものは昇華だ。図にしたので参考にしてほしい。そして現在の自分と比べてどうすれば昇華できるのかを考えていこう。

種類内容
退行赤ちゃん返りなど、早期の発達段階に戻る。幼児期への逃避。
抑圧自分のしたい事が言えない。苦痛や欲求不満を、意識しないようにする。
反動形成構ってほしくてイタズラするなど、本心とは真逆の行動をする。
隔離やりたいのに出来ない。苦しいのに笑うなど、思考と感情、感情と行動が伴わない。
打消し不安や罪悪感を、暴力・やけ食いなど別の行動や考えで打ち消す。
投影相手へ向かう感情や欲求を、他人が自分へ向けてると思う。(自分が一方的に好きだと思っている相手をいつの間にか、あの人は絶対自分の事が好きだと思い込む。)
自己反転相手へ向かう感情や欲求を、自分が自分自身へ向ける。(誰かを好きだと思っていたのが、いつの間にか自分自身が大好きだと思いこむ。)
取り入れ相手の属性を自分のものにする。(自分もあの人と同じ塾に通っている。だから頭が良い。)
逆転感情や欲求が真逆のものとなる。(大好きな人と付き合えないとなると、憎しみを抱くなど)
置き換え満たせない欲求は、要求水準をさげて満足する。(志望校に落ちたが、第二志望でもまぁいいやと思える。)
昇華負の感情などを、社会的に受け入れられる方向に置き換える。(怒りをスポーツの原動力に。悔しさを勉強のやる気にするなど。)

僕は日記などに自分の考えを書きなぐって、まじまじと自分の状態を観察する。そして自分の意識できていなかった欲求不満をみつける。それをいい形にして昇華するという習慣を取り入れている。

親としては、子供に日記を書かせたり、話をよーく聴く(傾聴)ことで子供の欲求不満を分析して上手にアドバイスできることが理想だろう。

2. 行動主義・認知行動主義的アプローチ

心という不確定で個性が反映されたものは、何一つとして《この手法がこれに効く》とは言えない。ある程度の曖昧さがどうしても出てしまう。

そこで行動自体に焦点をある。行動は誰であろうと同じ現象だからだ。つまり測定可能だし《これをすればこうなる》と理論が確立できる。

ただまぁ、行動が改善されるだけであって心が改善されるかはまた別の問題という懸念はある。が実際に不安や恐怖で動けない。という状態は改善できる。

理論と技法をどちらも真剣に語るとあまりにも長くなるので、これもまた実用的な範囲でまとめていく。もし削りすぎていたらコメントでもしてほしい。

行動は《条件付け》によってコントロールできる。

例えば①大好きなおやつを食べる。②そのあと必ず大嫌いな注射を打つ。これがセットであれば次第に《おやつ=注射》となり、③大嫌いなおやつとなる。これが古典的条件付け

因みに②大嫌いな注射を打ったあとに①大好きなおやつが貰えるという条件を設定すると、④大好きな注射となる。(もちろんこの例は誇張してます。)

もう一つ条件付けの理論があります。それはオペラント条件付け。たとえば、子供がイタズラをしたときに、お小遣いを減らす。するとイタズラが減る。これを弱化という。

子供が人助けをしたら、お小遣いが増える。その為、人助けが増える。これを強化という。更に人助けはイタズラの真逆。人助けが増えるなら必然的にイタズラも減る。

このような理論を応用し、療法として確立されたものとして系統的脱感法があります。ざっくりまとめると、

  1. トラウマや恐怖、不安なモノにレベルを付けていく。
  2. 全身をリラックスする方法を身に着ける。
  3. 低レベルの不安などを体験し、すぐにリラックスを行い徐々に慣らしていく。

つまり、計画的にリラックスしながら不安と向き合うというモノです。

例えば、対人不安の強い子には、家族と初対面のように話すをレベル1。知り合いと喋るのがレベル2。店員さんに話しかけるのはレベル3。お医者さんや相談支援の人と話すのがレベル4。学校に行くのがレベル5。等に分ける。

その後、漸進的弛緩法や自律訓練法、自分なりのルーティンや逃げ場を作り、心を落ち着かせる方法を確立する。(リラックスに関しては別記事にて、まとめました。)

例えば、準備が整ったら、家族に自己紹介して、すぐにリラックスを試みる。知り合いとちょっと話をして、すぐにリラックス。これを繰り返して徐々にレベルを上げていく。

この療法は、神経症的傾向が高すぎる子に有効です。徐々に出来る事、適応できることを増やしていきます。

その後、自身の理想とする人物の行動をモデリング(模倣)などして自分を理想と同化していく。等が有効です。少しでも生きやすい世界を作りましょう。

3. 家族システム論的アプローチ

いままでは個人に焦点を当てていた。だがこのアプローチは、家族という単位でみていく。家族というのは一つのシステムで、個人はシステムの部品に過ぎない。部品同士がかみ合い、影響しあってバランスを保っている。だから家族が変われば個人も変わるという理論だ。

実際にどうやって家族へ介入していくかというと、

1.リフレーミング

考え方を変える。家族みんなの。

例えば引きこもりの子に対してお父さんは「子供が弱いから」。お母さんは「私の育て方が悪かったから」。子供は「全て親が悪い」。などと考えていたとする。

これらを「家族の問題だ。」、「たまたま学校が子供に合わなかっただけだ。」などと視点を変えていく。うまく解決に至る考え方にハマれば解決する。

家族員は以下の3つのタイプに分けられる。

・カスタマー・タイプ
購買する意志が決まっているお客という意味。問題や解決と自分との関わりをはっきりと意識しており、解決に向けて自分が変わることが必要であるという認識を持っている。既に解決に向けてよい考えを持っていることも多いので、それが実行できるように援助する。

・コンプレイナント・タイプ
不満を訴える人という意味。問題について詳しく語り、具体的な不満を訴える。解決についての期待もある。しかしながら、問題は自分以外のところにあり、自分以外の人や事柄が変化することが、解決に必要であると考えている。本人が言うように、変化が必要と思っている人や状況に合わせて援助を始め、急速に、直接的に「問題や解決に、実はあなた自身が関わっている」ということを直面化させることはさける。徐々に、本人に気づいてもらえるように働きかける。

・ビジター・タイプ
ただ面接につれてこられただけで、援助を必要と感じていない人のこと。とにかく、関係づくりを最優先させる。徐々に、本人が援助を期待していることがないか探し直してみる。

2.パラドキシカル・アプローチ(対抗パラドックス、対抗逆説)

家族の1人に、問題に関連する行動を逆転させ、それによって他の家族の行動も変えていく。

表面的には症状の改善を望んでいても、実際には家族の行動パターンを変化させようとしていない場合もある。そこで、家族に変化せず現状を維持するように、あるいは症状を促進させるようにと逆説的メッセージを伝える。

これによって家族は現状の関係に対して揺らぎを感じ、症状に対する意味づけの変化、悪循環パターンの変化を経験を経て新しい家族としての自己組織化が起こる。また、症状が強い家族に対しては、症状を維持しても、症状が改善しても治療者の意図したとおりであるという治療的二重拘束を与えることになり、治療抵抗を無毒化する効果がある。


4. 自己実現的アプローチ

個人的に一番使いやすく愛用している理論がある。それがマズローの自己実現論。考え方としては精神力動的アプローチによく似ている。自分の満たされていない欲求を満たし自己実現を目指す、というモノだ。

自己実現とは、欠乏欲求(基本的な欲求)を満たし、成長欲求(理想の自分を求める事)を持つ事をいう。

この説を紹介した理由は、僕が個人的にこの理論のほうがなじみ深いからという理由だけだ。精神力動的アプローチのほうがエビデンスも豊富だ。だから使いやすいほうでいいと思う。こちらの理論は、別記事にて解説している。興味があれば参考にしてみてほしい。

それと今回紹介した全ての理論は、僕なりに使いやすいようにカスタマイズされたものだ。その為元々の知識を薄めてある。知識の源泉に当たりたい人は、カウンセリング心理学あたりから学んでみるといい。

今すぐできる『負の感情』をぶっ飛ばす方法

1.心理的負担を減らす習慣を身に着ける。

まずはウォーミングアップとして簡単なモノから始めます。神経症的傾向が高い子は、新しい事や苦手な事に取り組めないことがよくあります。そこでまずは行動できるようにしていく。そして「自分は出来る。大丈夫」という精神状態に持っていけるようにします。

その為にはまず行動できるようになる必要があります。しかしなかなか取り組めないものです。その原因は、「代表記憶がネガティブ。」といった感情が原因です。

代表記憶とは簡単にいうとイメージです。腕立てが嫌いで仕方ない人は腕立てといえば「キツイしシンドイし翌日筋肉痛になるし…」みたいなマイナスなイメージを持っています。

でも、ここを自分の意志や誰かの発言で「腕立てをすると血流がよくなって疲労感が減る。元気になる。筋肉がついてかっこよくなる。」といったイメージに書き換えることができるようになると心理的負担が減り楽に行動を起こせるようになります。

このようにイメージの書き換えができる、つまり心理的負担を自分で減らせるようになると、朝起きる事や学校に行く事、宿題や習い事等なんでも億劫になることが減ります。

もちろん未知の事にも挑戦しやすくなります。身近なめんどくさいものからイメージの書き換えを練習してなんにでも適応できるようになったらかなり神経症的傾向は改善されます。

2.情緒不安定の対処法を持つ。

神経症的傾向が高い子は、不安やイライラなどのストレスを抱きやすいものです。それらの感情に適切な対処ができる術を持つ事が精神的余裕に結び付き改善に繋がります。

例えば、ちょっとイメージを変えるだけではどうにもならないような強烈な不安などには先ほど紹介した「系統的脱感作法」が有効です。

他にも、怒りに対処するには「アンガーマネジメント」も有効です。こういったように様々なストレスから身を守る術を身につけましょう。

3.if-thenプランイングによる心理的な反射をインプットしておく。

人は、「自発的にテストを頑張った⇒ご褒美が貰える⇒テストを見ると喜ぶ」という状態になります。しかし「先にケーキを子供に与える⇒ケーキを食べたのだからテストをやれ⇒ケーキを見ると嫌がる」と学びます。

このような物事に対する心理的な反応は、古典的条件付け(Classical conditioning)という原理によって解明されています。つまりコントロールできるという事です。

具体的にどうすればいいかというと、事前に、「こういう時はこういう反応をする」と決める。あとは数をこなす。これに尽きます。このテクニックをif-thenプランニングと呼びます。

例えば、「未知のものや場所、経験をしたら面白いと言う。」と決めてしまう。あとは数をこなすと自然と身についていきます。

このように自身の心理的な反応についても自分でコントロールできます。これが身につくと劇的に神経症的傾向は改善されます。

4.運動習慣を取り入れる。

この運動習慣による神経症的傾向の改善についてのエビデンスは、論文によってチグハグなので掲載するか悩んだんですが、個人的な体感ベースでは効果あると確信しているので紹介します。

運動習慣で一番ベストなのは、短時間でいいので心拍数が爆発的に上がる運動を行うことです。その場でできる、バーピージャンプやもも上げ、手をついて全力ダッシュなどがおススメです。

ただ、こういったハードかつ効率的な運動は大人向けで子供にこれをさせるのは大変です。子供向けには縄跳びやトランポリン、外を駆け回る、習い事をさせるでもいいです。

Rhodes ら*8 は身体活動と性格特性の関連を、35の研究からメタ分析を行い,外向性・勤勉性・神経症傾向の 3 つが身体活動と関連している可能性が示唆されたとしている。

ただ、フランスのモンペリエ大学のヤニック・ステファン氏の研究チームが2つの大規模な調査*9 から導き出した結果は、その変化が見られたのは、外交性、開放性、協調性、誠実性の4つで、神経症的傾向は相関無しとされています。

*1 – Goldberg, L., 1990. An alternative “Description of Personality”: The big-five factor structure. Journal of Personality and Social Psychology, 59, 1216-1229.
*2 – Steel, Schmidt,Shultz(2008).Refining the Relationship Between Personality and Subjective Well-Being,Psychological Bulletin 134(1):138-61
*3 – Heller,Watson,Hies(2004).The Role of Person Versus Situation in Life Satisfaction: A Critical Examinatio,Psychological Bulletin 130(4):574-600
*4 – 溝上慎一の教育論(2017).(講話)パーソナリティは基本的には変わりにくいが…
*5 – 川本哲也・小塩真司・阿部晋吾・坪田祐基・平島太郎・伊藤大幸・谷伊織 (2015). ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性の年齢差と性差-大規模横断調査による検討- 発達心理学研究, 26(2), 107-122.
*6 –  Friedman, Howard; Schustack, Miriam (2016). Personality: Classic Theories and Modern Research (Sixth ed.). Pearson Education Inc. ISBN 978-0-205-99793-0
*7 – “How to become a better leader”. MIT Sloan Management Review 53 (3): 51–60. (2012).
*8 – Rhodes RE, Smith NE. Personality correlates of physical activity: a review and meta-analysis. Br J Sports Med 2006; 40(12): 958-965
*9 – 運動不足と性格の変化 Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 7 | doi : 10.1038/ndigest.2018.180706a