子供のコミュニケーション能力を伸ばす方法。【SST付き】

2021-06-14

子供とコミュニケーションをとることは、実は簡単なことではありません。自分が教えたことを子供は熱心に聞いてるように見えたのに、あとからその会話を全然覚えていなかった!そして愕然とする。

逆に、子供が一生懸命に話し続けているのに、「ママ!今言ったこと聞いてた?」と怒られて反省することも。

子供は発達に応じたコミュニケーションをとります。小さい時はニコニコ笑っておしゃべりだった子も、思春期を迎える頃には「うん」「べつに・・・」と、たった一言に。

コミュニケーションにおいては家庭ごとにギャップがあります。子供たちは自分の気持ちにオープンである時期を過ぎ、やがて静かに自分の心の中に思いや感情を閉じ込める時期に入ります。でもどんな時期であっても、子供とコミュニケーションをとることは大切です。

コミュニケーション能力を高めるメリット

・将来にわたって成功する確率が高い。
・人を愛し、愛される事ができる。
・自分の行動をコントロールする事が出来る。

コミュニケーションが上手な子供たちは、将来にわたって成功する確率が高い。なぜなら友達や先生、教育、仕事、家庭にいたるまで様々なことを話し、耳を傾けることが出来るからです。

現に就活では、コミュニケーション能力の高い学生が求められる傾向が高い。2017年に日本経済団体連合会が行った「新卒採用に関するアンケート」では学生の選考で重視した点は「コミュニケーション能力」が15年連続1位でした。

子供がこのような能力を身につけていくには、親がどうすればいいか?という問いに科学的根拠と僕の体験的スキルを基に解説していきます。

コミュニケーション能力の構成要素

コミュニケーションというのは社会的適応スキルの積み重ねです。タテの関係。ヨコの関係などの理解。相手に共感する。ルールを守れる。と、いったものの蓄積です。明確な言葉で表すとこの5つ。

「他者理解」「実行機能(自己統制能力)」「社会的カテゴリーの理解」「社会規則の理解」「会話能力」(斎藤,1986)

相手がどんな気持ちなのか。自分がやりたいこと事と、相手がやりたいことが違う。という事を想像したり説明されて理解できるか。それが他者理解共感する力ともいえる。

自分が遊びたい!という気持ちを我慢して相手に譲ることがスムーズにできる。といった自分の感情をコントロールし適切な行動をとる力。それが実行機能です。自己統制能力ともいえる。

集団の中では役割分担があること。リーダーがいたりそれに従うメンバーがいたり。男の子と女の子ではそれぞれ特徴的な態度や行動が違っている。そして将来的にも役割が違う事。そういった性役割の理解。こういった人間関係の仕組みを理解すること。それが社会的カテゴリーの理解

人が2人以上で何かを円満に営むには、ルール(やり方や振る舞い方)が必要になる。家族の生活、学校生活、社会でも同じだ。人はルールがあってこそ気持ちよく行動することが出来る。ルールっていうのは、「これをしてはダメ」を決めるものではなく「こうすると良い」を考える事。より良い生活を送る為のガイドになる。そのため社会規則の理解は欠かせない。

どれだけ知識があろうと、相手を思いやろうと、それを表現する方法が分からなければ対人関係はギクシャクします。そこで「聴き方」「話し方」の技術を習得すること。つまり会話能力です。

これらの能力は、仲間との様々なトラブルに遭遇し解決する経験を基に育まれる。ただ、現代において核家族化、疎遠な親戚、友人関係、習い事などによる多忙化、地域コミュニティの過疎化等によって人との触れ合う機会が減っている現代においては勝手に身につく能力ではなくなってきています。

そこで家庭で。親子で出来るコミュニケーションの育成方法を開発しました。是非参考にしてください。

コミュニケーション能力の高め方

これから紹介する方法は根治療法。つまり風邪を治すため。ではなく風邪にならない為に体を鍛えましょうという方法だ。今すぐに効果が必要な対症療法。つまり風邪薬的な方法論は最後に掲載してます。

「他者理解」「実行機能(自己統制能力)」「社会的カテゴリーの理解」「社会規則の理解」は日常生活の声掛けが肝

この4つは、普段の生活におけるは親の知識を子供に伝授。これがほぼ全てです。

他者理解は、自分の過去の経験を基に他人の感情や考えを予想するもの。実行機能、社会的カテゴリー、社会規則も親が「女の子には優しくね」「目上の人に敬語を使いなさい」「さようならの挨拶をしなさい」「暴力はダメ」といった教育によるものです。

これらを伸ばす上で大切なのは、自分の過去の経験や知識と、相手の状況を比較する習慣を身に着けてあげる事でしょう。

例えば、絵本をただ読むだけでなく「このネズミ君、迷子になって怖い気持ちになってるね。この前、〇〇ちゃんが迷子になった時に感じた気持ちと同じだよ」といった子供の経験と相手の気持ちを結びつける声掛け等が有効です。

実行機能に関しては構成要素が多く、伸ばし方もレパートリーがあるので別記事にて詳しく解説しています。

会話能力の高め方

正直この記事のメインはここでしょうね。なんといっても話す・聴くは人生を切り開く武器となる。ずっと使える。永続パワーアップ効果があります。ゲーム的表現で申し訳ないんですが「永遠に攻撃力・守備力50%UP」みたいなもんです。

まず聴く力。これは相手を癒し自分の存在にカリスマ性を出してくれます。神仏や聖人の神たる支柱は「受容」です。聴くという行為は相手を受け止め包み込む行為です。

人は話すことが快感な生き物だ。話したいという気持ちはとても強い。そして実際に喋れるとSEX並みのドーパミンが出る。そんな快楽をもたらしてくれる人が粗末に扱われる事は無いです。実際、聴く力に長けた人はモテます。

「愚痴を聞いてくれる先輩」「何でも受け止めてくれる包容力抜群のお姉さん」「自分をお姫様にしてくれるカリスマホスト」

モテない訳がないですよね

ただこう言った人物になるのはとても大変。なぜなら誰でも話したいという欲求が大きいから。ただ聴くだけなんて割と苦痛です。話すのが苦手という人でも、親や親密な友人とはすごくします。とても楽しそうに。

聴く技術。それは「耳を傾け続け、全力で相槌を打つ」これだけです。意外とシンプルです。でもこれがとんでもなく難しい。トレーニングを重ねても1時間やるだけで割とヘトヘトです。

私はよく話を聞く。という人も案外会話中に口をはさんでいます。というより、口を挟まずに耳を傾け続け全力で相槌を打つなんて、知識もトレーニングもなしに体得している人は天才以外の何物でもないです。

この聴く技術。「傾聴(アクティブリスニング)」は誰でも体得できます。しかしコツもあるのでそれは別記事でまとめています。

次は、話す力ですね。

なんども言いますが人は話すことが快感な生き物だ。話したいという気持ちはとても強い。だからこそ「俺の話を聞け」と相手を顧みない態度を無意識にとったり、相手の話を聞いてるようで自分の意見を言いたいだけになったりする。

言いたいことを言えない。という状態もすさまじいストレスになる。そこで理想の話し方、アサーションの技法を紹介しよう。

アサーションとは。自分も相手も大切にする話し方の技術です。誰もが習得すべき理想の自己表現。もちろん簡単な技ではないです。しかし、習得すべき価値はあります。

「断れない」、「誘えない」、「言いたいことが言えない」、「相手を傷つけてしまう」。そんな悩みとはサヨナラです。

自分の思い通りに相手を動かそうとする話し方(態度)を「攻撃的自己表現」といいます。

たとえば、「人手が足りないんだからシフトはいれるよな?」「親なんだからそれくらいしないと」「うるさい。黙ってやれ」といった押し付けの態度です。

逆に、頼ってもいいのに頼れなかったり、断ってもいいのに引き受けてしまう話し方(態度)を「非主張的自己表現」と言います。

「相手が嫌がったらどうしよう」「どうせ断っても無理やり押し付けられる」「言っても無駄」こういった引っ込み思案な態度です。

このどちらも適切な表現技法ではないんです。

攻撃的表現」では、相手も相手の家族や友人、周りの人も傷つけてしまいます。周り回って自分の風評にもヒビが入り信用を失う可能性すらあります

非主張型表現」では、自分も家族や友人など大切な人にも巻き添えにしてしまいます。例えば仕事が休めなくて子供と一緒に過ごせない。友達との予定をキャンセルする。夫婦のコミュニケーションが取れず疎遠になる。といったことも。

そして、人はどちらの面も持っています。仕事や学校では「非主張的表現」しかできないけど、家族やお店の店員さんには「攻撃的自己表現」をするという場合もありえます。

そこで、理想的な第三の表現方法「アサーション」。つまり自分も相手も大切にする話し方(態度)を習得するべきなんです。アサーションの習得によって、自分も相手も周りの人も傷つけず円満な人間関係を築けるようになります。夫婦、親子、仕事仲間、友人などの関係すべてに使えるテクニックです。

そんなアサーションはこちらの記事で解説しています。

今すぐできるコミュニケーション能力向上のSST

コミュニケーションは実践の積み重ね。家庭などで事前に「こういう時はこうする。」という練習をSST(ソーシャルスキルトレーニング)といいます。これはかなり有効ですのでコミュニケーション例をいくつか使いやすい形で紹介します。

使えそうなものがあれば参考にしてみてください。

赤ちゃんとのコミュニケーションは「三項関係」

5~6か月頃までは、自分と大人という二者での関係つまり「二項関係」である赤ちゃん。やがて大人と同じものを見るという共通のやりとりが始まり、心の通じる度合いが強くなっていきます。

その後、自分と大人とひとつのテーマ(関心や興味の対象)を共有し「三項関係」が始まります。ここで始まるのが赤ちゃんの指さし。

「あっあっ(ここにおもしろそうなものがいるよ!)(これなに?)」

指さしをコミュニケーションの道具にして、喜びを大好きな人に伝えようとします。そのあと必ず伝えようとした人の顔を確認します。大人は「本当だね、わんちゃんがいるね~」

子供の気持ちを言葉にして共感します。そうしてあげることで、子供は積極的に大人とコミュニケーションをとるようになっていきます。

子供が何を言いたいのか想像し、その子の身振り手振りを見てあげましょう。子供の目の高さまで体を下げて正面から目を見つめる。うなずきながら

「何がほしいの?もう一回言ってみて」

親が子供の言葉を理解しようとすれば、子供も頑張ってコミュニケーションをとろうとします。

生活の実況中継。

コミュニケーションが上手い子供の親は、子供との会話を欠かしません。「はーいオムツをかえようね、気持ちがいいね」という声掛け。赤ちゃんはちゃんと聞いています。子供の成長に合わせて、生活の実況中継を続けましょう!

たまに、大人っぽい話し方をする子供を見かけませんか?そういった子供たちは多くの時間を大人や家族と会話して過ごしてきたと考えていいでしょう。

子供を名前でよぶ

子供に何かを頼むときは、まずその子の名前を呼びます。それから頼みたいことについて話をしましょう。

子供の名前を口に出すことで、自分にとって大切で名前を呼ぶ価値があることが伝わります。そして自分が頼まれたことに責任感をもって行う意思が生まれます。

子供の気持ちを認める

人とコミュニケーションで必要なのは“自分は何を伝えたいのか”“自分はどう思っているのか”を分かっていること。

子供の意思を育てるには、親や周りの大人が「そう思っているんだね」と否定せずに認めることです。

子供話が始めたら、話をよく聴くこと。途中で口を挟まず、うなずきながら最後まで話を聴くことです。

たとえネガティブな感情を出しても、受け止めてくれるからこそ子供は安心する。そして自分の気持ちや考えを表現できるようになります。

子供に考えさせる

親や大人が決めたことを「こうしなさい」と押し付けないで、子供自身に考えさせること。それが表現力を育て思考力を伸ばします。

「どうしてなの?」と質問されることで、子供は自分の隠れた気持ちに気づくことがあります。親も子供の気持ちを知ることで、お互い分かり合える関係になっていきます。

子供の先回りをしない

グッと我慢で待つ。これはなかなか難しく根気がいること。しかし子供が質問されているのに、親が先回りして答えてしまえば子供はいつまでたっても自分の言葉で話せません。

質問すると答えが返ってくるまでに時間がかかります。「いいよ、待ってるから話してね」子供が安心できるようにゆっくりと待つ。そして見守ることが子供の自立を促します。

小さな成功体験を重ねる

自分の気持ちを人に伝えるとき「これでいいのかな」という不安な気持ちがあるのは、大人も子供も同じ。特に気持ちの表現が苦手な子にとっては難しいものです。

そんなときは「これでいいんだよ」、「言ってごらん」と言われれば勇気が出ますね。

そしてちゃんと言えたら「できたね!」、「いい声が出てたよ」とほめてあげる。小さな成功体験を重ねていくうちに、次もやってみようという意欲がわきます。

そしてチャレンジした結果をほめるのではなく、努力している過程をほめること。失敗を恐れない心の強い子供にするための声かけが大切です。

熱心に聴く

聴くことは、コミュニケーションにおける最も重要なことです。子供の話に対する大人の聴き方がお手本になります。大人が熱心に聞いているという姿を子供たちに伝えること。

視線を外さずにうなずき、子供が笑ったら笑顔を返してあげましょう。

子供の言っていることを理解し、その言葉についてじっくり考えていることを表情に表して子供に分からせること。

共感しながら聴く

子供が伝えようとしていることが分かっているよという意思を表現すること。「わかるよ」「それは大変だったね」「それは頭にきちゃうね」といった相槌です。

メッセージを聞き取る

子供は伝えたいことを一生懸命伝えたいけれど、まだ要領得ないことも多いです。この問題の本質は何か?何が問題なのか、自分に何ができるのか。相手が伝えたいことを要約してみましょう。

「つまりこういうことかな~」自分が理解していることを示してあげましょう。

まずは家庭内で挨拶の習慣

家族の間であたり前の挨拶が出来ていますか?

朝起きたら「おはよう」
寝る前は「おやすみ」
外出するとき「行ってきます」「ただいま」
食事のとき「いただきます」「ごちそうさま」

身近で日常的に挨拶をしていれば、初対面の人にもきちんと挨拶ができるようになります。

子供たちが仲良くなる挨拶

新しい学年、クラスになり、新たな友達を作るコツです。

最初は明るい表情(笑顔)で挨拶「おはよう!」「こんにちは!」同じ挨拶でも、言い方によって印象が違ってきます。

相手の目をみて元気よく「何してるの?」「一緒に遊ぼう」「仲間に入れて」入れてもらえたら「ありがとう!」

会話を続ける「〇〇が上手だね!」「おいしいね(弁当)」

遊んだ後は「またね」「楽しかったね」「さようなら(バイバイ)」

目上の人への挨拶

学校の先生、交通指導員さん、友達の祖父母など目上の人に出会う機会があります。親しい間でかわす挨拶よりも、ていねいな挨拶と礼儀を習慣づけることが大事です。

「おはようございます」
「ありがとうございます」

友達の家で遊ぶとき「おじゃまします」「おじゃましました」「ごちそうさまでした」

習いごとや教室で「よろしくお願いします」「ありがとうございました」

心を込めて、視線を合わせる。そして大きな声ではっきり言えるようすること。

親がお手本を見せることにより、子供にはそのつど「“こんにちは”って言おうね」、「上手に挨拶できたね」

きちんと挨拶出来たらほめてあげる。挨拶をしてほめられた体験や、相手からもほめられる経験を積むことで、上手に挨拶ができるようになります。

もし各家庭で、こんなことやったよ!こういうのがよかったよ!といった例やアドバイスがあればコメントよろしくお願いします。先輩ママの経験を共有してください。