脳を鍛える。健康になる。最高の運動。

2021-06-14

あらゆる娯楽に溢れる現代。僕らは、生理的欲求よりも強力な超常刺激(TV,スマホなど)にさらされている。そのおかげで人は、動くように作られているという事。つまり動物だという事を忘れてしまう。

だれもが長時間の移動などで同じ体制をキープしたら体を伸ばしたくなる。これは筋肉が固まり、血流が滞り、生理的に不調を引き起こす事を防ぐ為だ。つまり人は自己防衛の為に体を動かす欲求を持っている。運動はそれだけ体調を整える効果がある。

しかし、超常刺激には負ける。だから不足しがちになる。運動だけは促す必要がある

運動ってものは、誰もが体に良い事だと知っている。でもなぜ習慣化できないか。

それは自分にとってどんなメリットがあるか明確に理解していない事。そして、自分でも実践できる運動法を知らない事。この二つが原因です。自分はそうでした。

そこでまず、運動のメリットをこれでもかと書きなぐります。そこで自分にとって都合のいい理由を吸収して下さい。脳裏に焼き付けてください。焼き印のように、刺青のように、消えないように。

そのあといくつかおススメの運動法を紹介しますの。僕自身も習慣にしているものもあるので参考にどうぞ。

運動のメリット

人生において成功するために、神は人にふたつの手段を与えた。教育と運動である。しかし、前者によって魂を鍛え、後者によって体を鍛えよ、ということではない。その両方で、魂と体の両方を鍛えよ、というのが神の教えだ。このふたつの手段によって、人は完璧な存在となる。

プラトン

プラトンは、(紀元前427年 – 紀元前347年)は、古代ギリシアの哲学者だ。そんな昔の人がすでに運動は魂と体を鍛える手段。完璧な存在になるための方法だと気づいていた。

現代においても様々な研究から運動の有用性は否定しようがない。その効能はこんなにもある。

  • 脳が育つ
  • 抗ストレス
  • 抗不安
  • 抗うつ
  • 注意欠陥障害改善
  • 依存症対策
  • ホルモン分泌の正常化
  • アンチエイジング
  • 生活習慣病予防

つまり運動は、人の根本的な機能や悩みを超越してくれる。もちろん細かい話で言えば「睡眠の質が良くなる」「筋力がつく」「楽しい」といったメリットもある。だがそれはオマケみたいなもの。

有酸素運動によって脂肪が分解され、遊離脂肪酸が血中のトリプトファンと結合したアルブミンを遊離させることでトリプトファンが血液脳関門を通り抜ける。そしてセロトニンが増加する。これにより不安軽減、落ち着きがもたらされる。またGABA分泌も生じるため、抑制機能がはたらく。

セロトニン。これらは睡眠に効くと聞いた事は無いだろうか?そう運動で分泌を促せるんだ。さらに集中力を鍛えるGABA。これも聞いた事は無いですか?チョコレートなんかで。

さらに心拍数の増大により心筋細胞が辛抱性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)を生成すると過度の興奮にブレーキがかけられストレス反応が抑制される。

ADHD(多動・注意欠陥障害)のシャドー・シンドローム(障害というほどではない個人的性格の傾向)の人は、小脳の一部が少し小さい。注意システムの働きに障害がある。というパターンがある。

つまり物理的な問題を抱えている。ということは物理的な働きで脳の動きを良くすることも可能。

この物理的なADHDのシャドー・シンドロームは、注意システムの回路調節にはたらくノルアドレナリンとドーパミン。この分泌がカギだ。どこかの部分が障害されると症状がでる。

そのため同じADHDでも症状は千差万別。青斑核(概日リズムと関係がある)で作られたノルアドレナリンを運ぶ軸索は、腹側被蓋領域(VTA)から伸びているドーパミンを運ぶ軸索とともに扁桃体のニューロンに結合している。扁桃体が刺激に敏感すぎるとパニック発作がおきる。ドーパミンは側坐核(報酬中枢)に信号を運んでおり、ここが壊れると、すぐに満足が得られるものを求める「現在に囚われる人」となってしまう。

具体的には運動をすると、ドーパミンとノルアドレナリンがすぐに増える。車に例えると脳みそに新たなエンジンオイルを注入するような効果があり当然神経回路の連携がスムーズになるということ。更に定期的に運動することによって脳の特定の部位に新しい受容体が出来上がり脳自体が変化していく。脳の可塑性。つまりアップデートです。

運動(特に有酸素運動)をすると、体中の筋肉や心房でBDNF(脳由来神経栄養因子)やANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)といったタンパク質やホルモンが作られ、それが血流の良くなった血液に乗って脳に入る⇒結果的に頭がよくなる

運動すると脳細胞に適度なストレスがかかり、運動終了後に脳に「ストレスを自分の力で乗り越えた」という経験がインプットされ、緊張したりして心拍数が上がっても脳と気持ちが安定する。

こういった理由から、運動をしている子の方が成績がよくなったり、老後も明晰な頭脳を保って明るい気分で過ごせる。うつや発達障害、ADHDにも運動は効果的であり、薬と同等またはそれ以上の効果がある。女性に関しては妊娠中運動するとかしこい赤ちゃんが生まれ、また更年期においては更年期障害を乗り切れる

体を正常にすれば心も正常になる。順番は逆でもいいかもしれないが、体を動かす方が楽な気はする。ただ、体に良いとはいっても強制はダメだ。あくまで自発的に、意欲的に、内観しながら行うべきだ。無理やりやらされた運動ではあまり効果がない。というより意識して行う運動の効果が増すともいえるかもしれない。

ハーバード大学のエレン・ランガーが行った実験で、ホテルで働く清掃員84名のうち半分に普段の仕事でかなりの運動をしている事を教えた。つまりシーツを変える作業は15分行うと40kcal消費する。窓ふきを10分行うと50-70kcalほど消費するなど。普段の働きの消費カロリーを教えただけだ。

それなのに4週間後には体重・体脂肪が減少。血圧まで改善。何も伝えられなかった半数と同じ作業を自分の作業を運動と認識しただけでこの効果です。

少しでも、自発的に「運動しようかな」という動機になれば光栄です。

運動のエビデンス

運動によってこんな効果が確認された!という情報をまとめておく。少しでも意欲が高まればと思います。


2015年のサンパウロカトリック大学の研究では、10歳から16歳の間の56人の被験者を集めた。そのうち半数がADHDの症状が出ている人達でした。全体を4つのグループに分けて、ランニングとテレビゲームをしてもらう実験を行います。

つまり、ADHD の症状のある人とそうでない人に分けて、ランニングをしてからテレビゲームをする場合とランニングをせずにテレビゲームをした場合で比較しようとしたわけです。テレビゲームは集中力が必要なゲームで、ランニングをしたことによってその後のゲームのスコアが良くなるのかということを調べました。

集中力が必要なゲームのスコアが運動することによって良くなるのかということをADHD の人とそうでない人とで分けて調べたわけです。

結果は、ADHD の症状のある人や集中力が極端にない人は、ランニングをしてからゲームをすると集中力がとても上がっていました

ですから、運動というものはADHD や集中力が極端にない人に対しては、集中力を高めるための強力な効果があるということです。

具体的には、ADHD の症状がありランニングをしてからゲームをする場合とランニングをせずにゲームをする場合を比べると、35%もランニングをするだけで集中力が上がっていたということです。


カナダのシェパード(Shephard, 1996)は、546人の小学1年生の子どもに、心拍数が157~178/分まで上昇する強さの身体運動を1日1時間行ってもらい、6年間にわたって認知機能を対照児と比較するという実験を行いました。実験後に知能テスト(Goodenough test, WISC)を行ったところ、身体運動を行った子どもの方が有意に高得点が得られることを報告しました。


2009年にはアメリカのドネリー(Donnelly, 2009)が3年間にわたって、117人の6歳~9歳までの子どもに1週間に45分以上の比較的強い身体運動を行ってもらい、3年後に対照児と知能テストで比較したところ、有意のスコアの上昇を認めています。


ドロレット(Drollette, 2014)は、9歳の対象児に、前頭葉機能を測定するテストを行い、その得点の高いグループと低いグループに分け、それぞれに20分間トレッドミルで身体運動をしてもらいました。運動の後に脳波測定を行い、脳の活動と関連のある脳波の成分をしらべたところ、運動をした直後の脳の働きがよくなることが証明されたのです


ヒルマン(Hillman, 2014)らは長期間身体運動をすることで、脳の機能の向上状態が長い間続くことを示しています。7歳から9歳の子ども221人を対象に、その半数に9か月にわたる放課後の有酸素運動(トレッドミル運動、身体活動を伴うゲームなどで構成)を行ってもらい、残りの半数の対照群とともに、脳の認知機能テストとテスト施行時の脳波による脳機能を測定したのです。そして9か月後に、有酸素運動群と対照群に、有酸素運動開始時と同じ認知機能テストと脳波による脳機能検査を再び行いました。その結果、9か月間の有酸素運動への参加率と、認知機能テスト成績ならびに脳波による脳機能向上の間に有意な相関があることが明らかにされたのです。

有酸素運動を行うと、その直後に実行機能の向上が一時的にみられるだけではなく、継続して行った場合に、持続する実行機能向上がみられることが証明されたのです。

理想の運動

とりあえずこれがこなせれたら最高。というラインを紹介します。取り入れれるものだけやってみてハマったら増やしていく。というのがおススメです。

それでは理想の運動量はというと、週5日30分以上の運動です。内訳は、

・1日の初めに最大心拍数の80~90%になる運動。
・週2回筋トレをする。

週2回強めの有酸素運動をする。
・柔軟性とバランスを鍛える運動をする。

そして可能なら、激しい運動や技能を伴うもの(球技や武道など)もできると最高。という感じだ。

しかし、これらを初めからやり抜こうとするのは大変だ。特に今まで運動習慣がない人にとっては特に。そこで簡単に日頃の運動量・運動効果を高める方法を紹介します。

運動量と運動効果を高める裏技

1. NEATスコアリング

NEATとは非運動性熱生産(Non-Exercise Activity Thermognesis)を略した言葉で、運動以外の日常的な活動で消費されるカロリーの事です。

走る事でカロリーを消費するのと同じで、掃除や通勤、仕事にだってカロリーを消費します。というより1日の消費カロリーの15~50%はNEATです。

最初は、「運動をしよう!」じゃなくて「掃除しよう!」と考えるほうが効率的かつ継続的に消費カロリー自体は増やせます。つまり体を動かす量が増えるという事

実際にNEATを増やすだけ。つまり掃除をする頻度を増やしたり、通勤を徒歩や自転車にしたり、エレベーターではなく階段を使ったりする。すると1日の消費カロリーが平均352kcalほど上昇します。これはランニング40分したのと同等の活動量です。 

日常場面でのNEATを増やす工夫例

  • テレビを見ながら体を伸ばす。体操する。掃除しながら見る。立って見るなど。
  • 歩くスピードを速める。
  • 通勤ではバスや電車の一駅分を歩く
  • 駅や歩道橋など積極的に階段を使う
  • 職場でも1~2階ならエレベーターは使わず階段を使う
  • 職場でPCを使用する場合は、立位で行う
  • 朝、新聞・郵便物取りなど、何でも自分で動く
  • 休日は家のそうじや車のそうじをする
  • 子どもと遊ぶ
  • ペットと散歩する

2. プラセボ・トレーニング

プラセボ。皆さんも聞いたことあるのでは?ただの小麦粉をクスリと思い込んで飲むとなぜか症状が改善するというヤツです。

脳が作り出す症状には、大抵クスリ並みの効果を発揮するプラセボ。なんと運動効果も高めてくれます。

先ほども例をだしたが、ホテルで働く清掃員84名のうち半分に普段の仕事でかなりの運動をしている事を教えた。つまりシーツを変える作業は15分行うと40kcal消費する。窓ふきを10分行うと50-70kcalほど消費するなど。普段の働きの消費カロリーを教えただけだ。

それなのに4週間後には体重・体脂肪が減少。血圧まで改善。何も伝えられなかった半数と同じ作業を自分の作業を運動と認識しただけでこの効果です。

普段の行動を「運動」だと認識(思い込む)することでプラセボ効果が働く。つまり運動効果が向上する事を意味する。日常生活で行う行動の消費カロリーを書いてみるので、自分の行動を運動だと思い込んでみてください。

日常行動の消費カロリー例

睡眠(一晩)400~500kcal
料理(30分)90kcal
掃除機(30分)100kcal
洗濯物を干す(30分)100kcal
拭き掃除(30分)120kcal
皿洗い(15分)60kcal
買い物(60分)200~300kcal

3. HIIPA

HIIPAとは高負荷偶発的身体活動(High Intensity Incidental Physical Activity)の略で、NEATの負荷を高める事だ。つまり日常の活動、通勤や家事を少しハードに行う事だ。

たとえば普通に歩いてお買い物や通勤するより、早歩きの方が負荷が上がる。つまりハードだ。あとは階段を2段飛ばしで上る。重いものをどけながら徹底的に掃除をする。しかもスピーディーに。

こんな風にNEAT(日常活動)をハードに行うことで負荷が上がり運動量が増加する。移動速度や掃除効率が上がって運動量も増やせる。とてもお得だ。

4. ウォーキング

日常生活の質が向上したら、プラスアルファで運動したくなるだろう。というよりそうなったら最高だ。健康意識が向上した証拠だから。

そこでまずはウォーキングの習慣を取り入れよう。いきなりランニングや筋トレなんて荷が重い。すべてがめんどくさくなっては元も子もない。

ウォーキングと言えば活動的だが、散歩と言い換えれば健康的な趣味くらいなイメージになるのも良い。季節の風を纏い、自分の街を歩く。そのメリットはすさまじい。

運動効果はもちろん。ストレス発散、脳機能の正常化、鬱や不安障害などに効くほどホルモン分泌が正常化する。心肺機能も向上する。

しかも負荷を上げたければ距離を伸ばす・歩くペースを速める・姿勢を正し大股で歩く。とメチャクチャ楽。

しかもどこでも出来る。ショッピングモールをウィンドウショッピング。隣町のカフェまで歩く。水族館を歩き回る。これだって散歩だ。なんて心理的負担が少なくていいんだろう。

休憩も同じくらいに大事

運動はやればやるだけ体にいいわけではない。人の体は「刺激⇒回復⇒成長」このサイクルによって強くなる。このサイクルをホルミニクスという。予防接種も原理は同じです。

運動は刺激。刺激したなら回復しないといけない。食事と睡眠をしっかりしよう。

そしてムリは、むしろ健康を害する。体が出来上がってないうちは弱い負荷から始めよう。

番外編:赤堀先生のルーティン

一日の初めは、高強度インターバルトレーニング(HIIT)を行います。これをすることによって一日が始まる。そして集中力とやる気が高まり仕事や勉強がはかどる。

まず、動的ストレッチを軽く行います。Youtubeなどで公開されている動画を参考に自分行いましょう。(完全にまねるというより好きなものを学んで使うというのが良いです。)

その後、2~10セットの高強度の運動を、不完全回復(低・中強度の運動や短時間の休息)を挟みながら行う。

因みにHIITに決まった動作などはないの。息があがり、汗をかく。そして最大心拍数の80~90%くらいになればいい。つまり心臓がドクンドクンしてればOK。3分でその状態になれるならいいし10分やってもいい。体しだいだ。

Youtubeで「HIIT」と検索すればいくらでも出てくるので自分に合ったものを探していこう。

そして、最後にクーリングダウンを行う。最後に落ち着いて日常に戻ろうというわけだ。

慣れれば朝のルーティンとして10分もかからない。まぁハイになって20~30分ほどやるときもあるがそういう時は、次の日が残念なことになる。無理のない範囲でやれるといい。

僕は、面倒な日にはウォーミングアップもクールダウンもしない。朝起きて、水を飲んで、体を「うーっ」っと伸ばして、いきなりバービージャンプをする。2~3分くらい。それで終わり。

そんな感じでゆるく取り入れるだけでも、一日の生産性が本当に変わる。頭がシャキっとし勉強や仕事がはかどる。メンタルも向上し自己効力感を実感する。


日中の運動習慣についてだが、こればっかりは習い事などがベストだ。野球やサッカー、テニス、武道など、一人ではできない。僕はテニスをするが、月に1~2回出来ればいいほうだ。

だから日常的にはゲームで補っている。個人的なオススメはリングフィットアドベンチャーだ。

https://youtube.com/watch?v=pmUS1nXq9RI

このゲームだけで有酸素運動・筋トレ・体幹(バランス)は補える。スポーツのように予測、切り替えなどの強烈な脳の繋がりを要求する活動は行いませんが・・・。


最後に柔軟性。お勧めはヨガです。

ヨガは本当に気持ちいい。マインドフルネスな行動でもある。よーく体を内観しメタ認知トレーニングにもなる気がする。それに感謝傾向も向上する。寝る前に行うと副交感神経優位になり睡眠の質も上がる。あと寝る前に体をほぐし代謝を向上させるとホルモン分泌など促し成長や健康に寄与する。それにダイエット効果も高い。

あ、あと柔軟性が上がる

僕のお勧めは「B-LIFE」というYoutubeチャンネルだ。動画が美しい。先生も美しい。体の部位や仕組みも知れる。いいことづくめだ。

なにか取り入れれそうなものがあればやってみよう。是非コメントで「我が家はこうするよ!」という知恵があれば、先輩ママとして共有してください。