手料理は食べさせたほうがよい?0歳から離乳までの食事術

2021-06-14

子供の食生活は、心や体の発達や健康に大きく影響しています。毎日の食事が子供の「健康な体と心と脳」を作っているとも言えるでしょう。

健康な体は、風邪やインフルエンザなどにかかっても回復する免疫力を持っています。
健康な心は、嫌な事があっても頭を柔軟に切り替えられます。
健康な脳は、本来の能力を十分に発揮できます。

だから「子供に手料理は食べさせたほうがよい?」と問われたら

やはり子供に手料理は食べさせるメリットは大きい」と答えたいです。

が!しかし、世の中のお母さんは忙しい!(お父さんももちろんですが)働いている人も、家にいる人もあっという間に一日は過ぎてしまうもの。その中で、食事作りへの負担感や不安感が大きくなっているのが現代のお母さん。実際に子育ての悩みとして多いのが、食事に関することです。

不安や苛立ち、疲れがひどく精神が弱っていたり、子供への対応にトゲが出てくるようであれば食事をレトルトや外食で済ますのは正しい事です。

むしろ、無理に自炊にこだわり家庭内の不和や、子供との愛着関係にひびが入るくらいなら食事を手軽に済ませるほうが何倍もメリットが大きいです。

そこで、食事に対する基本姿勢を「無理なときは諦める。楽をする。余裕があるときに頑張る」というものにすることをおすすめしたい。

そして、余裕が出た時に頑張れるよう子供に手料理を食べさせることのメリットを知りつつ、食事作りが苦痛にならないようなその家庭なりの工夫をしていくコツを紹介していきます。

因みに、子供と一緒に料理をすると「子供の好き嫌いが減る」、「家族仲が良くなり子供の幸福感が高い傾向がある」、といったメリットもあります。子供と一緒にできる料理も合わせて紹介するので是非活用してください。

手料理を食べさせる・一緒に料理することのメリット

授乳期

この頃の赤ちゃんの様子
・食欲がある
・安心とやすらぎの中で飲む心地よさを味わう

和食が生み出すおいしい母乳
母乳にはお母さんの食事内容が反映されます。
栄養バランスのとれた食事で血液がサラサラになり、良質な母乳をつくります。

母乳のために積極的に摂りたい栄養素
・鉄分(血液中の栄養素を運ぶ役割)・・レバー、かき、煮干し、ひじき、ほうれん草など
・ビタミンK(骨づくりに大事)・・春菊、かぶの葉、納豆など
・カルシウム(骨や歯の発達に不可欠)・・牛乳、木綿豆腐、小松菜、しらすなど
・タンパク質(身体を回復させ、母乳のもととなる)・・ささみ、木綿豆腐、鮭、豚肉など
・葉酸(ビタミンB1の一種で、血液をつくるのに不可欠)・・枝豆、小松菜、いちご、納豆など

一日を通して様々な食材から栄養素を摂るのがベスト。食事が基本となります。もし、足りない栄養素があると思ったらサプリメントで補うことも出来ます。また、お母さんは自分だけで頑張ろうとせず、家族や自治体のサポートを利用することをおすすめします。自分の体の回復と授乳を優先して生活しましょう。

離乳期

:この頃の赤ちゃんの様子
・おなかがすくリズムをもつ
・色んな食品に親しむ
・見て、さわって、自分で食べようとする
・五感で味わう

幼い味覚を形成する時期
幼い頃に味覚を形成することは、子供が生涯にわたる健康的な食生活習慣を身につけることにつながります。いわばチャンスの時期。食のはじめの一歩ですね。

離乳食のステップ

ゴックン期(生後5~6か月ごろ)
食べることに関心を示したら開始のサイン。スプーンに慣れるのが目的の時期。10倍粥から始めて、嫌がる時は無理しない。

モグモグ期(生後7~8か月ごろ)
歯が生えてきて、柔らかい粒や形のあるものを、舌をあごで潰して食べられるようになる。
味覚も発達。

カミカミ期(生後9~11か月ごろ)
食事のメインが母乳やミルクから、離乳食に移る時期。歯ぐきで食べ物を潰せるようになり、食欲も高まる。手づかみできるメニューも取り入れる。

パクパク期(1歳~1歳6か月ころ)
奥歯が生え始めて、噛む力が強くなる。少し柔らかい物を食べられるようになる。手先が器用になり、スプーンの練習も始めたい時期。

薄味の和食は離乳食の味方
味付けは極力ひかえて、食材そのものの味を生かすのがポイント。大人の食事作りを薄味の和食にすれば、わざわざ離乳食をつくらなくてもOK.ごはんと汁物→離乳食へと展開できます。

目指すは親子の和やかな食卓
離乳食は食べ物に慣れるための時期。食べさせることを目的とせず、赤ちゃんが「食事って楽しい!」と思える環境をつくることがポイントです。

「飛行機がきたーひゅーん、〇〇ちゃんのお口に入るよ~。」といった飛行機ごっこ。
「ママも食べるから、〇〇ちゃんも1口食べよう~。」声かけなどが有効。

また、おつまみトレーに盛りつけてみるのも楽しいです。製氷皿などの、仕切りがついたプラスチックのお皿を用意します。トレーの7仕切りのひとつひとつに、栄養のある食べ物を入れます。例えば、バナナの車輪、ブロッコリーの木、ゆでたニンジンのスティック、リンゴのお月さま、チーズの積み木etc・・・

赤ちゃんは、おつまみトレーに少量ずつ盛ったおかずを、ちょこちょこと食べます。もっと欲しがったらおかわりを出します。少量を完食していくスモールステップで、食べる喜び、楽しさ、達成感を味わうことができます。

安心、安全な食材を
赤ちゃんの小さな体に入る食材は、できるだけ農薬や添加物をさけたいもの。信頼できるお店や宅配サービスを利用するのもひとつです。

ベビーフードを賢く利用
最近のベビーフードは、素材や味付けなどとても厳選させています。

1996年には厚生労働省によりベビーフード指針がまとめられました。「日本ベビーフード協議会」の指針をもとに自主規格を作成。食品添加物、残留農薬、内分泌かく乱物質、遺伝子組み換え食品といった基準を設けて食品常時がされています。

種類は、粉末、フリーズドライ、レトルト、瓶詰、冷凍などがあります。利用の仕方としては
・とろみや硬さを参考にする
・足りない品数として加える
・外出・旅行先で利用する
・疲れている時 など。

離乳食作りに負担を感じているお母さんは多いので、市販のベビーフードを賢く使うことをおすすめします!

幼児期

この頃の子供の様子
・食べたい物、好きな物が増える
・食事のマナーを身につける
・家族と一緒に食べることを楽しむ

味覚が発達し好き嫌いも
乳歯と奥歯が生えそろい、大人と同じものが食べられるようになります。味覚が発達して敏感になり、好き嫌いも出てくる時期。野菜に含まれる、苦味や辛味、酸味を意識して食べなくなることもあります。これは味覚がステップアップしている証拠なので気長に見守ることが大事です。

食べさせることを目的とするのでなく、食を通じて親子の関係を深めたいですね。

ぜひ一緒にお料理を!
食事の楽しさを伝える一つとして、親子でお料理するのがおすすめ。子供は何かを作るという作業が大好き!料理に関心を持ち始めるのは5歳がピークであることが分かっています。子供が興味を持った時こそがチャンス。

まずは簡単なホットケーキはどうでしょう。絵本『しろくまちゃんのほっとけーき』(わかやまけん著)を思いうかべる方もいるのでは!?

2018年に森永製菓が、年長から中学 2 年生までの子供をもつ母親に対して親子でホットケーキ作りをした調査研究をしました。

ホットケーキ作りは、その工程の全てで心理的に発達を期待できる要素があります。
1:計量=判断力、集中力
2:材料を混ぜる=判断力、分析力
3:生地を焼く=判断力、分析力、積極性の向上
4:焼き上がりを待つ=想像力、分析力、自制心
5:親子で食べる=コミュニケーション能力、自信、自尊心の向上

子供は、社会的能力(人と付き合う力)、知的能力(分析・判断力)、達成感(自信)が高まり、親は、児童への積極性(育児力)、子どもとの協調性、達成感(自信)が高まることが分かりました。

さらに発展編!カレーライスやピザなど子供の大好きメニューも作ってみましょう。子供だって包丁は使えます。包丁の持ち方や、食材を押さえる手は指を丸めて切ることなど説明すれば、子供は慎重に包丁を使うことができます。一生懸命に作って完成した料理を、一緒に食べるのは至福の時間です。

学童期

この頃の子供
・体力、運動能力を伸ばし知識を吸収する
・社会性を身につけ、行動範囲が広がる
・家族と一緒に食事を作ることを楽しむ

8歳までの食生活が未来に影響
脳は、8歳になる頃には大人の95%まで成長します。この時期までの食習慣は、子供の未来に大きく影響します。子供たちは園や学校などでも食事をするようになります。同時に塾や習いごとで忙しい生活になり、食生活が乱れやすい時期とも言えます。

腸内環境を整えること
実は腸は「第二の脳」と言われるくらい大事な器官。腸内環境が悪くなると、メンタルに影響を及ぼします。幸せホルモンと言われるドーパミンやセロトニンは、これまで脳で合成されるものと考えられてきました。しかし今では9割が腸で作られることが分かっています。

中でもセロトニンは心身コントロールに不可欠。腸内環境悪化により、セロトニンが作られないと判断力が低下し、平常心を欠いたプレーをしてしまう恐れがあります。

また成長期の子供にかかせない成長ホルモンは脳下垂体から分泌されます。十分に分泌させるには、セロトニンが欠かせません。腸内環境悪いと成長ホルモンが分泌されなくなってしまうのです。

腸内環境を良くするにはやはり食事が大切です。食物繊維や乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌など積極的にとるようにしましょう。不摂生な日は、ビオフェルミンなどの乳酸菌系調整剤の摂食もお勧めです。

コンビニ食、外食は賢く利用
生活の土台はあくまで食事であることを忘れないようにしたいもの。しかし、すべての食事を手作りするのは、忙しいお母さんにとってはストレスになることもあります。そんな時はコンビニ食や外食を賢く利用することも一つの方法です。

その際、弁当を選ぶ時の注意は
・揚げ物をとりすぎない
・炭水化物のメニューばかりにならない
・野菜豊富な弁当を選ぶ。など。

もしくは、枝豆やとうもろこし、カットフルーツを組み合わせる。つまり弁当+野菜を覚えておくとよいです。食物繊維やビタミン豊富なドライフルーツやナッツ、バナナもおすすめ

まとめ

子供たちが成長していく過程において、食事が大切であることが分かりますね。栄養バランスを考えた、おうちの人の手作り料理は子供への素晴らしいプレゼント。いつでも作ってあげられるのが理想的だけれど、料理がストレスになっては元も子もありませんね。

忙しい時や疲れた時はお惣菜や冷凍食品に頼ってもいいんです。

手作りじゃなくても、コンビニ食や外食でバランスを考えればしっかりと栄養がとれますよ。子供にとって一番なのはお母さんの笑顔と食事って楽しい!と思えること。安心して楽しい食卓を囲めるようにしたいものです。